長谷寺コンサート

先日、11/1 秋晴れの清々しい中での総本山長谷寺でコンサートをさせていただきました。奈良は約1300年前の日本の首都、平城京があった場所であり、特に長谷寺のある桜井は仏教が最も早く始まった場所だそうです。長谷寺は西暦686年に創建された真言宗豊山派の総本山の寺院で、木造の本堂は国宝に指定されています。

長谷寺は、山の上に建てられた壮大なお寺で、全長200メートル、399もの階段を上って本堂にたどり着きます。足が悪い方は下からタクシーで本堂まで行けます。今回のコンサートは、高さ9.3メートルの「十一面観音菩薩像」が祀っておられる本堂の中で行われました。当日は、大変気候がよく、心地よい風が吹き込む素晴らしい日でした。

曲目は全て無伴奏。通常、私はピアニストやギタリストなどの共演者と一緒にステージに立つことが多いので、無伴奏で1時間以上もサックスの音色に耳を傾けていただけることは大変嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、、、!いつも共演者と一緒に音を合わせているところをを聞いていただいているので、今回は自分のペースでゆったりとした音楽を聞いていただけたことは新鮮でもありました。

真っ赤なふかふかの長いお座布団のがずらりと並んべてあり、そこにみなさま座って聴いていただきました。年季の入った濃い色の木目の床とコントラストの強い赤の色がとてもよくマッチしているな、と見惚れてしまうほどでした。私の左手には、楠で彫られた十一面観音像、穏やかな表情で私を見守ってくださっていました。右手には広々とした、舞台があり美しいパノラマビューの山々を見下ろすことができます。私の後方には木々が生い茂り、風が吹いてドレスが揺れ、木漏れ日が差し込んで大変美しかったと仰っていただきました。

月曜の平日の午後にもかかわらず、満席で公演させていただきました。本堂は100人まで収容できるのですが、新型コロナウイルス感染症の予防のため、収容可能人数が半分になってしまいました。

今回コンサートでしようしたHenri Selmer Paris サクソフォン (左) Series III ソプラノサクソフォン, (右) シュプレーム 92DL アルトサクソフォン

演奏した曲は、クラシックの曲あり、日本やアメリカの民謡もあり、サックスのために書かれた曲もあり、色々:

  • ジョゼフ・ブラケット(1797-1882) - シンプルギフト (1848)

  • マラン・マレ (1656-1728)- スペインのフォリア (1701)

  • 野田燎 (b.1948) - 胡蝶の舞 (2016) 

  • 宮沢賢治 (1896-1933)- 星めぐりの歌(1918)

  • ロベルト・シューマン (1810-1856) - トロイメライ 」 子供の情景よりOp.15-7 ヘ長調 (1838)

  • C.P.E. バッハ (1714-1788) - 無伴奏フルートのためのソナタ イ短調 WQ. 132 (1747)

    I . Poco adagio

    II. Allegro

    III. Allegro

  • エイドリアン・アルバート (b.1941) - タンゴ・ソジンホ (2021)

  • 岡野貞一 (1878-1941)

    - 紅葉/もみじ (1911) 

    - 朧月夜/おぼろづきよ (1914)

    - 故郷/ふるさと (1914)

  • アンコール エドワード・エルガー(1857-1934):愛の挨拶,Op.12(1888)

外部の人間が長谷寺で音楽会を開催するのは極めて珍しく、本堂の中でサックスが演奏されたのは、約1400年の歴史の中で初めてのことだそうです。昨年、2020年6月には、「万葉からの祈り」というテーマで撮影をさせていただきました(06:49-08:11)

(左から) 山口美樹子さん, 私, 瀧口さん, 山口昌代さん

この度は、長谷寺まで足を運んでくださった皆様、また関係者の皆様の多大なご協力により実現することができました。心より感謝申し上げます。今回のコンサートを含むクラシック音楽のコンサートシリーズ「万葉からの祈りVol.2」は一般社団法人まほろば芸術ラボが主催で行い、奈良・桜井市のお寺や神社で1ヶ月間コンサートを行っています。チラシPDFはこちら。

また、私が使用している楽器ブランドHenri Selmer Paris サクソフォンの輸入元である、野中貿易株式会社様より今年発売されたアルトサクソフォン「シュプレーム」を今回お貸しいただきました。半年ほど前に試奏をさせていただいた時に、「素晴らしい楽器だな」とは思ってはいましたが、今のSeries IIIにも満足しているし、まだご縁には程遠いかなという印象でした。ただ、今回2週間という期間お借りして、さまざまなシーンで練習したり、お客様の前で演奏する機会をいただいたことで、心動くものがありました!一緒に活動しているピアニストの山口美樹子さんは音を聴くなり「わぁ!自由で滑らかな音がする!たくさん練習したみたいな音がするね〜!」(笑)と大変気に入ってくれたみたいです。

今回着用させていただいた、ドレスは着物のアプサイクルブランド、KIEN(季縁)様のもの。美しい留袖に鶴や扇などの日本らしいのデザインモチーフが施され、金糸もはいり、素晴らしい着物ドレスでした。季縁ショールームへ訪れた時のことはこちらからご覧ください。

京都のメディア制作会社Nicheは、3人の撮影スタッフで、5台のカメラでコンサートを撮影していただきました。準備段階から時間をかけて構想を練ってくださり、素晴らしい映像をとっていただいたようです。

最後に、長谷寺関係者のご支援ご高配に心より感謝申し上げます。お務めの合間をぬって、ご親切に心のこもった対応をしてくださいました。また再びコンサートさせていただける機会を楽しみにしています。

後日、コンサート動画をChika Inoue YouTube チャンネルで配信しますね!

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Guest: Nathan Mertens